カテゴリ:映画・演劇( 34 )

映画『ディア・ドクター』観ました。

ずいぶん長く映画を観れなかったので、連荘で行ってきました。
『ゆれる』で話題になった、西川―若くて美人で天才という恐いもんなしの―美和監督の最新作、
ディア・ドクター』。

観終ったあとの感想は。

「いやあ、すごいわ・・・・」

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『ゆれる』がなんかすごかったので、たぶんそれよりは落ちるかなと、
ある意味余裕で行ったのですが。
間違いでした。『ゆれる』に劣らない傑作でした。

『おもしろかった』ではなく『今もおもしろい』。

とってもたくさんの「フック」がある映画です。
見る人によって、僻地医療問題に引っかかる人もいれば、
偽物と本物、という命題に引っかかる人もいる、
いかに死ぬか、という死生学的な部分に引っかかる人もいる、
ほーーんとにいろんな観方ができるのです。

私自身は、そういう大きな命題ではなく、
映画中のいろんなシーン、いろんなせりふ、表情の1つひとつを思い出しては、
これはこういう意味なんだろうか、とか
こう言ったってことは、あの人はこう思っていたのか?とか。
白衣を脱ぎ捨てた伊野に、子供達は視線を向けてないなあ、とか。

本当にワンカットワンカットに想像力をいつまでもかき立てられています。

日本映画ならではの、日本語のイントネーションや、
言葉の選び方ひとつに感情が見え隠れする、という、
非常に繊細な作り方をしていることにも衝撃を受けました。

例えば、製薬会社営業マン、斎門(香川照之)は、
伊野(鶴瓶)に胃カメラを撮られながら、
『医者になってみてどうですか』と問いかける。
『医者になってどうですか』ではなく。
それで、彼がそれ(偽医者であること)を知っていること、
知っていながらそれにフタをしている、そして伊野もまた知られていることを知りつつ、
2人とも言葉には出さないままに共犯として成り立って行く。。。。。。
こうした感情の二重三重構造は、まあハリウッド映画にはないな~・・・

たぶんこれって、『清濁併せ呑む』みたいなことを心ならずも知り染めてしまった
大人な人には、ものすごくぐっと来る映画なのではないかと思う。
分かってるのか分かってないのか、嘘なのかそうでないのか、
イヤなのかイヤじゃないのか、去ったほうがいいのかそうでないのか、
そういう、曖昧な一線を越えたり越えなかったりしながら、
他人の顔色や言葉尻、視線ひとつをうかがいながらも
平然と世過ぎをしているだから。

ほかの人たちの映画評を読むと、主人公の伊野の行動が分かりにくかったとか、
鳥飼さん(八千草薫)の『伊野先生は何にもしてくれなかった』という言葉や、
ラストシーンが曖昧でよく分からない、とか言うのがあったけど、
なんで~~~???って思う。 めっちゃくちゃ、沁みるくらいに分かるやん!!
ただ一人だけの若者、相馬(瑛太)の若さゆえの残酷さ、無知ぶりも。

もう1回観に行ったら、もっと『そうなのか!』的なことが分かるかも。
観れば観るほどいろんな想像と事実が浮かんできそうな、天晴れな日本映画でした。
余貴美子さん、サイコー。
美和さんすごいです053.gif
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by fenmania | 2009-08-01 21:20 | 映画・演劇

映画『精神』@第七藝術劇場 観ました。

前々から気になっていた、『精神』を観てきました。

これは、岡山市に実際にある精神科診療所「こらーる岡山」にカメラを入れ、
モザイクなし、音楽なし、ナレーションなし、字幕なし、というスタンスで、
精神をわずらう患者たちと、彼らに寄り添う高齢の医者やスタッフたちの生活を
淡々と描いたドキュメント作品です。

監督の想田和弘さんは新進気鋭の映画作家で、
前作も同じような手法の『選挙』という作品でした。


「被写体の顔にモザイクをかける手法は、患者に対する偏見やタブー視をかえって助長する」
と考えた監督は、素顔で映画に出てくれる患者のみにカメラを向けたそうです。

ある患者さんにカメラを向けているとき、「何のために撮ってんの」と尋ねられた監督は、
「映画を作りたいから」ではなく、
「健常者とそうでない人との間の『見えないカーテン』をめくりたいから」と答えました。
すると、その患者さんは「それなら分かる」とすすんで発言し始めます。

その人は、「健常者といわれる人でも、全人的にすべて健康という人は
いるはずがない。それなら、その人たちと自分たちとは、どこが違うんだ」とも言います。
でも、今は、歴然と、その間に「カーテン」があるのですよね。
さらに、「健常者側にもカーテンがあるし、自分たち側にもカーテンはある」のだと。


私自身、メンタルの問題には、数年前から関心を持っていました。
その興味が高じて、あるメンタルクリニックに縁を持ったため、
メンタルに問題を抱える人々を見てきました。

それを見て思うのは、「どんな人でも心の病気になる可能性はある」ということ。

仕事で失敗をしてしまった、人事異動があった、職場になじめない。
夫が浮気をした、セクハラ、モラハラ、DV。
こんな日常のトラブルが、引き金になってしまうこともある。

私自身、メンタルの問題に悩む人にどう声を掛けたらいいのかはまだまだ分かりませんし、
まったく、「カーテン」がないかといわれると、「ない」と断言できないかもしれない。
ただ、明日はわが身かも、という、ある種の平常心をもつことで、
無用な差別意識を払拭していけたらと思っています。

映画のエンドロールで、素顔をさらして取材を受けた患者さんたちのうち、
3人が亡くなったという現実をあえて告知しています。
うち2人は自死だそうです。
精神疾患の苦しさ、闇深さが、厳然とそこにあります。

映画『精神』

バナー貼りました。

ここで想田監督の詳しいインタビューが見られます⇒★
(新聞なので、すぐに消えるかも知れませんが)
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by fenmania | 2009-07-30 18:06 | 映画・演劇

メカロックオペラ「R2C2」@シアターBRAVA!

クドカンのモノは、とりあえず全部見る、というふうに決めている。舞台も映画もテレビも。
しかしこの「R2C2」は、チケット争奪戦に出遅れて、
S席が取れないため鑑賞をためらっていた。
でも、ラッキーなことに追加公演が発表されて、
無事取れた! しかも座席は前から5列目!

・・・・と喜んだのもつかの間、確認したら一番端っこの席だった・・・メッチャショック。
端って観難いのよね~~~・・・050.gif

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とぶつぶつ言いながら当日シアター入り、
ああやっぱり端は端だ。観にくいことこの上ない。
まっすぐ正面向いたら、アンプしか観えやしねーよ。

しかししかしこんな不平不満も、いざ幕が上がったら
すっかり忘れてしまうほど、舞台に釘付けに!
ああ、クドカンってやっぱり、すきやわ~~~
なんか、脱力感というか、照れ笑いしながらぼそぼそとおもろいことしゃべってるみたいな
そういう風情がたまらん!
私はテレビのお笑いは詰まんなくてまーーーたく見ないねんけど、
クドカンの笑いだけは信じる!
アベサダちゃんも信じる!w

「おはなしのあらすじ」
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時は35年後の渋谷。過去に一斉を風靡した伝説のロックバンド「ザ☆パルコムズ」のリーダー・パルコム田村(阿部)が十数年ぶりに冷凍睡眠から目覚めると、その世界では、音楽はもはや娯楽ではなく、人の心を操るための道具となっていた。戸惑うパルコムは、そこで「R2C2」と名乗るサイボーグ(松田)と出会うが、無駄にオモシロ機能を搭載したその「R2C2」を作ったのは、なんとパルコムの息子クワトロ(森山)だった――。



話がロックなもんで、当然ロックがらみのコネタもいっぱいで、
わたし的には大満足の2時間10分でした。
松田龍平君は、初めての舞台だそうだけど、なかなか初々しくてよかった~
歌も初めて聞いたよ。(ムッチャ音痴なサイボーグという設定なので、うまい下手は不明・・・)
で、なんといっても森山未来君ですよ。
おねーさんは感動した。
ダンスの切れ、シャープな身のこなしにかけては、
もうこれ以上無しのパーフェクト男子。
声も驚くほどよく出るようになってたし、
ピアノ弾きながらの弾き語りは、サ、サービスカットか!!??
前から5列目なのに、オペラグラスで舐めるようにまじまじ見てしまいましたよ。
素敵過ぎて。

クドカン演じる、アジアンという気弱なストリートミュージシャンもツボだった!

ハッピーな2時間10分でした。

えーーと・・・・、グループ魂のライブにも参戦計画中。
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by fenmania | 2009-06-13 22:59 | 映画・演劇

『草迷宮』from寺山修司映像詩展2009@シネヌーヴォ

60~70年代アングラ演劇と三上博史様の大ファンなのだから、
どうしてもどうしてもはずせない映画、寺山修司監督の『草迷宮』。
演技経験のないただの高校生だった三上少年が
オーディションで勝ち取ったのが、この映画の主演。
おんとし15歳のデビュー作品。
寺山さんも見る目があったねえ!(な、生意気で、す、すみません・・・・(゚ー゚;A)

なぜか観る機会がまったくなくて、今に至るも、
いま、大阪の「シネ・ヌーヴォ」という劇場で、寺山映画を20本以上集めた
寺山修司映像詩展2009」というイベントを行っています。

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シネ・ヌーヴォ、これはなんといったらいいのか、
メジャーな映画ではなく、 インディーズというか・・・アート系というか・・・
なんせ、あまり人がいっぱい入りそうもない、でも興味深い映画を
こつこつ上映しているミニシアターです。

家からシネヌーヴォまでは、2回乗換えをしなくてはならず、
面倒が先に立って今までいったことがなかったけど、
阪神なんば線開通のおかげで、1本で30分程度で行けるようになったのです!
すごいラッキ~~!


ともあれ、そこで憧れの『草迷宮』が上映されると知り、
今日行ってきました。

『草迷宮』は泉鏡花の原作で、メッチャ乱暴にいうと
少年の母恋いのお話です。
少年役を三上さんが、映画初主演とは思えないほど堂々と演じています。
まあ寺山映画ですから、下半身のもろ出しはあるわ、
女体とすっぽんぽんで絡み合うわ、の熱演であります053.gif(ぼかしはあるけど)。

原色、キモノ、白塗り、軍服、川、海、そして畸形・・・・と、
寺山映画のキーワードが散りばめられ、目くるめくような40分。
寺山さんのドキュメント番組で何度も見た、
日本髪を結って、上半身裸に、下半身に横綱まわしを締めた女性がしこを踏む、
その前の畳の上に、女性の生首が鎮座している・・・という
悪夢のような極彩色のシーンが『草迷宮』の1シーンだったことを
今日知りました。
忘れようにも忘れられない強烈なシーンの、出展がわかってなんかうれしかった。

三上さんは、やっぱりおぼこい感じで、
『日本少年』っていう感じもしたのが意外だった。
それに、声が今と全然違う。
顔の輪郭も違う。
俳優として何10年も過ごすうちに、
美しい外観や、役者らしい発声など、自らの強い意思で作り上げたものが
たくさんあるんだろうなあ、と思います。
しかし15歳でこの世界を見ちゃったら、
もうマトモな人生は歩めないよねえ・・・・

『草迷宮』、見れてよかった!!
このイベント、6月12日までやります。
次は『上海異人娼館』を見に行こうかなあ。
今は亡き美しき山口小夜子さんのお姿をもう一度みたい!

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窓口では「寺山グッズ」もいっぱい。DVDも売ってたよ!
映画チケット、当日券1500円なり。


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by fenmania | 2009-05-28 19:29 | 映画・演劇