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年越しに~『海炭市叙景』

2010年も残すところあと1日とちょっと。
朝から寒くて雨模様だったけれども今日はとりあえず大掃除DAY。
窓を開け放っていたので、脱走防止のため、
みやちゃんを扉のある玄関スペースに軟禁してたら
そっちに行きたいよおと鳴いて鳴いて・・・。
いまは鳴きつかれてか、ソファでぐっすです。

年越し用に、図書館で佐藤泰志(やすし)さんの本を
3冊借りました。年越しに~『海炭市叙景』_b0183613_19452286.jpg

佐藤泰志さんの『海炭市叙景』という小説を原作にした映画が、
年明けすぐに公開されます。
公式HPはこちら

雑誌でこの映画レビューを読むまで、
寡聞にも佐藤泰志という作家を
まったく知りませんでした。
1949年函館市生まれ。同年代のダブル村上(春樹・龍)、中上健次らと競うように、芥川賞候補に5回、
三島由紀夫賞候補に1回なりながらも
ことごとく受賞を逃し、結局今から20年前、41歳のときに自ら死を選んだそうです。

『海炭市叙景』はいい小説です。
作家の生まれ故郷、函館市をモチーフにした「海炭市」に住む、
少々貧しくて恵まれない人々をやさしくオムニバス風に描いています。
読後の印象は、「山本周五郎の『季節のない町』みたい・・・」
『季節のない町』は、黒澤明の『どですかでん』の原作になった作品。
やはり貧しくて明日の見えない人々が、それでも精一杯生きていく日常を描いた佳作です。
小説『海炭市叙景』では、海炭市の厳しい冬と芽生えの春が描かれています。
その続きの夏と秋を描くことなく、作家は旅立ってしまいました。

映画は1月8日から大阪の七芸、京都のみなみ会館などで上映されます。
谷村美月ちゃんや加瀬亮くん、南果歩さん、小林薫さんらが出演します。
来年が楽しみです。

皆様、よいお年を。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。

by fenmania | 2010-12-30 20:19 | BOOK