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楽しいもの見つけに

12月も末になってようよう多忙の山を越し、テレビを録画したDVDを見る余裕も出てきました.
その中で、特に心に残ったのが、この2つ。

◎NHKで放映していたお芝居「楽屋」。
大好きな清水邦夫さんの脚本を生瀬勝久が演出、
渡辺えり、小泉今日子、村岡希美、蒼井優の4人が出演するだけの短いお芝居。
舞台は、チェーホフの演劇がかかる楽屋。主役のニーナを演じるのは村岡。
そして、それ以外の3人はプロンプター。
プロンプターとは出演者が台詞や立ち位置、所作を失念した場合に合図を送る役割のスタッフ。
せりふはもちろん、すべての段取りを頭に入れておく必要がある。
出演者に何かアクシデントがあったときは、交代することもあるらしい。
そしてこの3人のプロンプターのうち2人はすでにこの世の人でなく(したがって生きている人には見えない)、
残る1人も心を病んでいる。
幽霊である2人は、ただ1人の女優である村岡にいろいろとちょっかいをかけたり、
自虐的な話をしながら、もう訪れることのない「出番」を、
舞台メイクをしつつ、延々と楽屋で待っているのだ。
清水邦夫さんらしい、根源的な悲しみを覚える演劇で、
見終えたときちょっとダウナーになってしまった。
生瀬勝久さん演出ということで多少は笑の要素も交えてあったのがよかったな。
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◎2つ目は、いまさらですが、映画『クローズゼロ』。
仕事でインタビューさせていただいたD東俊介くんが出演しているということで、トライしてみた。
個人的に、殴りあったり血が出たりする暴力シーンが多少苦手なので、
最後まで見通せるかなあ、と危惧しながら見始めたんだけど、
これが結構おもしろかった! さすが三池監督。
ただひたすらに『鈴蘭高校のてっぺん」という栄光を目指すためだけに
殴りあう高校生たちは、どういうわけかかなりリアルで、
たぶん、日本の戦国時代ってこういう感じだったのでは?と思わせる。
主人公の小栗旬君演じる源治が、『てっぺんをとるには、腕力が強いだけじゃだめなんだ』と悟りつつ、
『男気』と呼んでよいような人間性を磨いていこうとする、そのあがきがよかったな。
あと、なんと言っても源治のライバル、多摩雄を演じる山田孝之が秀逸。
カリスマ性、ってのはこういうことをいうんだなあと感じさせる役作り。
源治が地を這いながら身につけていく指導力を、多摩雄はそこに存在するだけで発揮する。
この対比もかなりおもしろかったし、
D東くんはクールでかっこよかったし、私の好きな桐谷健太くんもよかった。
『パッチギ!』さえ正視できなかった暴力嫌いなんですが、意外なあたりでした。


さて、来年もたくさんの『あたり』にめぐり合いたいです。
皆さまよいお年を。

by fenmania | 2009-12-30 11:17 | 映画・演劇