映画『精神』@第七藝術劇場 観ました。

前々から気になっていた、『精神』を観てきました。

これは、岡山市に実際にある精神科診療所「こらーる岡山」にカメラを入れ、
モザイクなし、音楽なし、ナレーションなし、字幕なし、というスタンスで、
精神をわずらう患者たちと、彼らに寄り添う高齢の医者やスタッフたちの生活を
淡々と描いたドキュメント作品です。

監督の想田和弘さんは新進気鋭の映画作家で、
前作も同じような手法の『選挙』という作品でした。


「被写体の顔にモザイクをかける手法は、患者に対する偏見やタブー視をかえって助長する」
と考えた監督は、素顔で映画に出てくれる患者のみにカメラを向けたそうです。

ある患者さんにカメラを向けているとき、「何のために撮ってんの」と尋ねられた監督は、
「映画を作りたいから」ではなく、
「健常者とそうでない人との間の『見えないカーテン』をめくりたいから」と答えました。
すると、その患者さんは「それなら分かる」とすすんで発言し始めます。

その人は、「健常者といわれる人でも、全人的にすべて健康という人は
いるはずがない。それなら、その人たちと自分たちとは、どこが違うんだ」とも言います。
でも、今は、歴然と、その間に「カーテン」があるのですよね。
さらに、「健常者側にもカーテンがあるし、自分たち側にもカーテンはある」のだと。


私自身、メンタルの問題には、数年前から関心を持っていました。
その興味が高じて、あるメンタルクリニックに縁を持ったため、
メンタルに問題を抱える人々を見てきました。

それを見て思うのは、「どんな人でも心の病気になる可能性はある」ということ。

仕事で失敗をしてしまった、人事異動があった、職場になじめない。
夫が浮気をした、セクハラ、モラハラ、DV。
こんな日常のトラブルが、引き金になってしまうこともある。

私自身、メンタルの問題に悩む人にどう声を掛けたらいいのかはまだまだ分かりませんし、
まったく、「カーテン」がないかといわれると、「ない」と断言できないかもしれない。
ただ、明日はわが身かも、という、ある種の平常心をもつことで、
無用な差別意識を払拭していけたらと思っています。

映画のエンドロールで、素顔をさらして取材を受けた患者さんたちのうち、
3人が亡くなったという現実をあえて告知しています。
うち2人は自死だそうです。
精神疾患の苦しさ、闇深さが、厳然とそこにあります。

映画『精神』

バナー貼りました。

ここで想田監督の詳しいインタビューが見られます⇒★
(新聞なので、すぐに消えるかも知れませんが)
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by fenmania | 2009-07-30 18:06 | 映画・演劇